夜中への思い(松戸自主夜間中学の30年より)


◇ Mさん

「自主夜中は、故郷のような特別の場所」

 

 〜引きこもり→夜間中学校→定時制高校→県立看護学校→正看護師に〜

「ああ、あのときからだった。長い長い穴倉の中にいるような生活から抜け出せたのは……。太陽の光がこんなに明るかったことを久し振りに実感できたのは……。」

(小学校はあまり行かず中学校は1日も行かず、部屋の壁を眺め昼夜逆転の生活だったが、父が病気で倒れたのを期に、長男だったので何とかしなければと考えネットで偶然見つけた松戸自主夜中へ。)

「何度か足を運んだある日、勇気を奮って勤労会館の1階ロビーに入ってみた。1階ロビーにいた松戸自主夜中のスタッフの一人が、あまりにも緊張し不安そうにしていた私を見て、すぐに声をかけてくださり、話を聞いてくださった。なぜもっと早く来なかったのか、これまで不安だった気持ちなぞ忘れてしまったかのようになっていた。勉強の方は漢字の書き順はめちゃくちゃ、数学は基礎を中心に学習するも一度では理解できず・・・英語に至ってはチンプンカンプン。しかし、自主夜中のスタッフは、こんな私に辛抱強く付き合ってくださり、ときには自宅で、またあるときは勤労会館のロビーなどでわかるまで教えてくださった。」

 その後Mさんは躊躇していたが背中を押され、千葉県立の定時制高校へ進学、障がい者の施設で働きながら、自主夜中でも勉強を教わり、高校卒業程度認定試験も幾つかの単位を取得して3年で卒業。さらに千葉県立看護学校に進み、看護師になった。(「新たな出発の今―松戸自主夜間中学校の30年」p31)