夜中への思い(松戸自主夜間中学の30年より)


◇Tさん

「娘に一番必要だったのは、自分を受け入れてくれる温かい居場所だった」

 

 不登校になった娘が『学校』という言葉を聞くだけで、胸が苦しくなり『人が生きる意昧って何?地球を汚して壊して、人間なんかいなければいいのに』

 そんな言葉ばかり投げつけてくる。最近、ひんぱんに新聞に載っている「中学生の自殺」が頭をよぎり、血のひくおもいで娘を見たものです。娘を理解し、心を開かせようと、もがいている時に自主夜中と出会いました。嫌なことは絶対やらないガンコな娘が、週2日、自分から通い出しました。それから少しずつ心が開いていったのでしょう。うわべだけ笑っていた娘が、いまでは大口を開いてみずみずしい笑い声をたてているのですから。

自主夜中は、なにげなくさりげなく温かい、だれでも受け入れてくれる。だから娘も無理なく入ることができたのでしょう。あの時、娘に一番必要だったのは自分を受け入れてくれる温かい居場所だったのだと思います。学校では学べないものを学んで、人間的にも成長してくれた。今では、自分を取り戻し、元気過ぎてうるさいぐらいな娘です。

(「新たな出発の今―松戸自主夜間中学校の30年」p.128)